褒められたのに、私じゃない

褒められたのに、私じゃない

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EQ感情知能で解説

褒められたのに、なぜか胸が重い夜

会議で頑張った資料が褒められた瞬間、なぜか胸の奥がズンと重くなる。
左手だけ拳になりながら、笑顔で会釈する自分。

あれって、いったい何の感情なんでしょうね。

このシーンを描いていて、私自身も「あ、これ知ってる」って思ったんですよね。
褒められて、嬉しいはずなのに——重い。
そんな夜のお話です。

【シーン1】「ありがとう」が、私の隣に行った瞬間

シーン1

深夜2時まで何度も直して仕上げた、渾身の資料。
カナはその朝、ちょっとドキドキしながら会議に出ていました。

上司は、その資料を褒めてくれました。
「これ、よくできてるね。ありがとう」

……のに、「ありがとう」は、隣に座る同僚に向けられたんです。

笑顔で会釈しながら、テーブルの下で左手だけが、ぎゅっと拳になっていました。
胸の奥に、小さなズン

これが「ちいドロ」です。
名前のつけにくい、でも確かに胸の奥に落ちた、小さなドロドロ感情なんですよね。

【シーン2】日記を開いても、ペンが動かない

シーン2

帰り道、胸のあたりがずっと重い。
家に帰ってお風呂に入っても、その重さは消えてくれません。

日記を開いてみる。
でも、ペンが動かない。

「私、嫉妬してるのかな……」

そう思ってしまうと、余計にしんどくなりました。
「同僚に嫉妬する自分って、ちっちゃい」
「もっと素直に喜べばいいのに」

こんなふうに「嫉妬」のひと言で自分を裁いてしまうと、本当のドロドロが見えなくなってしまうんですよね。
このシーン、描いていて胸が苦しくなりました。

【シーン3】「期待値メーター、上げてませんでしたか?」

シーン3

そのとき、カナの頭に、以前EQコーチのワビタンから言われた言葉がよぎりました。

「カナさんね、その時、心の中で『期待値メーター』、勝手に上げていませんでしたか?

頑張った分だけ、私たちは無意識のうちに「絶対認められる」と、心の針を振り切らせていることがあります。
脳って、頑張ったあとには「ご褒美もらえるよね?」と、先取りで盛り上がってしまう性質があるんですよね。
そして現実がそれに届かないと、ズドンと落ちる。
これが「胸が重い」の正体のひとつなんです。

そしてもうひとつ。
「嫉妬」と思っていたカナの感情を、よく分解してみると——
「焦り」+「自己否定」+「寂しさ」のミックスだったんです。

「同僚への嫉妬」じゃなくて、
「私の頑張り、見ててほしかった」という、もっとあたたかい寂しさ。

これが「言葉の脳ダマ」です。
ざっくり「嫉妬」と呼ぶのではなく、もう一段細かい名前をつけてあげる技術。
脳って意外と単純で、貼られた言葉のとおりに感じてくれるんですよね。
名前が変わると、感情の重さがふっと変わる。これが面白いところなんです。

【シーン4】手帳に、3行だけ

シーン4

カナはその夜、手帳を開いて3行だけ書きました。

① 深夜まで資料を仕上げた
② 同僚の質問に丁寧に答えた
③ 最後の片付けを引き受けた

たった3行。
明日の評価は、まだわからない。呼ばれない日だってある。
でも、まずは私が、私の今日を見ていよう

これが「ちいすぐ」です。
ばかばかしいくらい小さく、でも今夜のうちに。
外向きに振り切れていた期待値メーターを、ゆっくり自分側に戻していく一歩でした。

書き出す、という行為そのものにも、ちゃんと力があります。
前頭前野(考えを整理する脳の部分)が静かに働き始めて、感情の輪郭がはっきりしてくる。
そういう意味では、3行書くことも、立派なちいすぐなんですよね。

まとめ

褒められたのに胸が重い夜は、「嫉妬」のひと言で片付けないでみる。
「焦り」「自己否定」「寂しさ」——もう一段細かい名前をつけてから、手帳に3行だけ書く。
今日の私を、今日の私で見ていよう。

感情に細かい名前をつけ直すだけで、夜の重さがちょっと変わる。
そして手帳に3行書くだけで、振り切れていたメーターが、ゆっくり自分側に戻ってくる。
完璧じゃなくていい。寝る前に、3行だけ。
そんな小さな習慣が、明日のあなたを少し優しく支えてくれる気がするんです。

【解説①】「ちいドロ→脳ダマ→ちいすぐ」の3ステップ

このエピソードで、カナは自然に3ステップを回していました。

🌧 ちいドロ(小さなドロドロを受け止める)

褒められたのに「ありがとう」が隣に行った瞬間の、胸のズン。
「私、嫉妬してるのかな」「ちっちゃい自分が嫌」という、小さなドロドロ感情です。

ここで大事なのは、解決しようとせず「ある」と認めるだけ
「こんなことで揺れる私はめんどくさい」なんて思わなくていいんです。誰にでもありますから。

🌀 脳ダマ(脳を優しく騙す技術)

カナが使ったのは「言葉の脳ダマ」
「嫉妬」というざっくりした名前を、「焦り+自己否定+寂しさ」と細かく分解して呼び直す技術です。

脳って、貼られた言葉のとおりに感じてくれる、ちょっと単純なところがあるんです。
だから感情に細かい名前をつけ直すだけで、重さも、扱い方も変わっていく。
脳と格闘するんじゃなく、優しく味方につける——それが脳ダマの面白さなんですよね。

🌱 ちいすぐ(小さく、すぐに動く)

言葉が切り替わったら、あとは小さく動くだけ。
カナの場合は「手帳に3行だけ書く」という、ばかばかしいくらいささやかな行動でした。

完璧な日記を書かなくていい。1ミリでもいつもと違う行動を、今夜のうちに——それが「ちいすぐ」です。
続けなくていい、今夜1回書いただけで成功なんです。

【解説②】このエピソードに効いていたEQの力

シックスセカンズが提唱するEQ(感情知性)には、8つのコンピテンシー(感情特性)があります。

  • 【知る】感情リテラシー / 自己パターンの認識
  • 【選ぶ】結果を見据えた思考 / 感情のナビゲーション / 内発的モチベーション / 楽観性の発揮
  • 【活かす】共感力の活用 / ノーブルゴールの追求

今回のカナのお話には、特に3つのコンピテンシーが効いていました。

感情リテラシー

「嫉妬」のひと言で片付けるのではなく、「これは焦りと自己否定と寂しさのミックスだ」と、感情にちゃんと細かい名前をつけ直せたこと。
名前が変わると、扱い方が変わる。
これが感情リテラシー——自分の感情にちゃんと名前をつける力なんです。

自己パターンの認識

「頑張った分、無意識に期待値メーターを上げてしまう」——これは、カナが繰り返してきたパターンです。
そのパターンに気づけるからこそ、「あ、また振り切れさせてたな」と少し距離を取って見られる。
気づくだけで、振り回され方がずいぶん変わってくるんですよね。

内発的モチベーション

外からの「ありがとう」だけを頼りにすると、心はいつも誰かの言葉次第になってしまう。
今日の自分を、今日の自分の目盛りで見てあげる——3行のメモは、その小さな練習でした。
これが内発的モチベーション、自分の価値観から動く力につながっていくんです。

みなさんも、褒められたはずなのに、なぜか胸が重くなった夜はありませんか?
もしよかったら、コメント欄で聞かせてくださいね。

今日のちいすぐ

今モヤッとしている感情に「嫉妬」「イライラ」などざっくりした名前をつけそうになったら、3つの言葉に分解してみよう。「これは〇〇と△△と□□のミックスかも」と手帳やスマホに書き出してみよう。

🧠 ワビタンのEQ解説

感情リテラシーとは、自分の感情を正確に認識し、適切な言葉で表現できる力のことです。私たちは「嫉妬」「怒り」など大きな言葉でまとめがちですが、実際の感情はもっと複雑なミックスであることが多いんです。「嫉妬」と名づけると自分を責めたくなりますが、「寂しさ」と言い換えると、自分に優しくなれる。脳は貼られた言葉のとおりに感じてくれるので、細かく名前をつけ直すだけで、感情の重さがふっと変わります。これが言葉の脳ダマの面白いところなんです。

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このエピソードの登場キャラクター

  1. カナと仲間たちのイラスト、感情日記のキャラクターが笑顔で描かれています。.
    カナ
    カナの家族
    共感力が高く、自分を後回しにしがちなワーキングマザー