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初対面で、胸の奥にちいさく「チクッ」とした違和感を感じたこと、ありませんか。
そして次の瞬間、こう自分に言い聞かせる。
「いやいや、決めつけちゃダメ」「第一印象で人を判断したくない」——。
真面目で、いい人でありたい人ほど、ついやってしまう癖。
このシーンを描いていて、私自身もすごく身に覚えがあったんですよね。

カナは、新しい同僚のメグミさんと初対面で挨拶を交わしました。
笑顔で「よろしくお願いします」と頭を下げる。
……そのとき、胸の奥に小さなチクッがよぎりました。
なんとなく、空気がふっと重く感じる。
うまく説明できない、でも確かに、そこにあった違和感。
これが「ちいドロ」です。
「なんでだろう、ちょっとざわっとした」——名前のつけにくい、初対面の小さなドロドロなんですよね。

その瞬間、カナの頭の中で、おなじみの声が動き出します。
「いやいや、決めつけちゃダメだよね」
「第一印象で人を判断するのは、よくない」
「ちゃんと話してみないとわからないし」
笑顔で会話を続けながら、カナはあの「チクッ」を、そっと心の中に押し込めました。
そして3ヶ月後。
カナはメグミさんに振り回されて、すっかりヘトヘトになっていたんです。
そこで初めて、こうつぶやきます。
「最初の”あれ?”は、なんだったんだろう……」
真面目で、優しくありたいと思っている人ほど、こうやって違和感を打ち消す癖があるんですよね。
それはとっても素敵な気持ちから来ているんです。でもときどき、自分を疲弊させる方向に働いてしまう。
このシーン、描いていて胸が苦しくなりました。

カナは3ヶ月前を思い出して、ふっと気づきます。
「あの最初のチクッ……あれが、情報だったんだ」
実は、人の体って、頭で考えるよりずっと早く、いろんなことを察知しているそうです。
心拍、呼吸、皮膚のちいさな反応、相手の表情や声のトーン——膨大な情報を、体が瞬時に処理して、「何か気になるよ」とサインを送ってくれている。
つまり「違和感」というのは、決めつけでも偏見でもなくて、体が先に気づいてくれていたサイン。
否定すべきものじゃなくて、大切なものを教えてくれているお知らせなんです。
カナは、自分の中で違和感の呼び方を、こっそり変えてみました。
違和感 = 決めつけ / 偏見 / よくないもの
↓
違和感 = 体が先に気づいてくれた、大切な情報
これが「言葉の脳ダマ」です。
ある現象に対して長年貼ってきた意味づけそのものを、もう一度自分の言葉で書き直す技術なんですよね。
そしてもうひとつ、大切な気づき。
「決めつけちゃダメ」と打ち消してきたのは、「いい人でいるための最高の自己防衛」だったんです。
責めるようなことじゃない。長年カナを守ってきてくれた、大事なパターン。
ただ、今のカナには、ちょっと窮屈になってきていただけなんですよね。
脳って意外と単純で、貼られた言葉のとおりに感じてくれるんです。
「違和感=決めつけ」と思っていると、感じるたびに体がこわばる。
でも「違和感=体からのサイン」と思えると、すっと受け取れる体に変わっていく。

カナがその夜やった「ちいすぐ」は、ふたつの小さな書き込みでした。
ひとつめ。ノートを開いて、たった一文だけ書きます。
「私は、自分のセンサーを大切にする人間」
ふたつめ。スマホのメモアプリにも、一行だけ。
「次に違和感を感じたら、まずここに残す。判断は、急がない」
違和感を感じた瞬間に、相手をジャッジする必要はない。
ただ、「感じた」という事実を、ちゃんと自分のために残しておく。
判断は、後でゆっくりすればいい。
翌朝、職場でメグミさんとすれ違いました。
相手は何も変わっていません。状況も、何も解決していません。
でもカナの肩から、ふっと小さく力が抜けて、目を逸らさず、わずかに微笑むことができたんです。
これが「ちいすぐ」です。
ばかばかしいくらい小さく、でも今夜のうちに——たった2行のメモが、明日の自分の立ち方を、ちょっとだけ変えてくれたんですよね。
初対面の「チクッ」は、決めつけじゃなくて、体が先に気づいてくれた情報。
「いい人」でいるための打ち消し癖は、長年あなたを守ってきた最高の自己防衛。
ノートに一文——「私は、自分のセンサーを大切にする人間」。それで、今夜は十分です。
違和感を感じた自分を、責めなくていい。
打ち消してきた自分も、責めなくていい。
ただ、「ちゃんと感じてた」という事実を、自分のためにそっと残す。
そんな小さな習慣が、3ヶ月後の自分を、ちょっと楽にしてくれる気がするんです。
このエピソードで、カナは自然に3ステップを回していました。
初対面で感じた、胸の奥のチクッ。
「なんとなく気になる、でもうまく説明できない」という、小さなドロドロ感情です。
ここで大事なのは、解決しようとせず「ある」と認めるだけ。
「決めつけちゃダメ」とすぐに打ち消さなくていいんです。
ただ「ある」と受け止めるだけで、第一歩なんですよね。
カナが使ったのは「言葉の脳ダマ」。
「違和感=決めつけ/よくないもの」という長年の意味づけを、「違和感=体が先に気づいてくれた大切な情報」と書き直す技術です。
脳って、貼られた言葉のとおりに感じてくれる、ちょっと単純なところがあるんです。
だから違和感の呼び方を書き直すだけで、自分のセンサーへの信頼が少しずつ戻ってくる。
脳と格闘するんじゃなく、優しく味方につける——それが脳ダマの面白さなんですよね。
言葉が切り替わったら、あとは小さく動くだけ。
カナの場合は「ノートに一文」「スマホのメモに一行」という、ささやかな書き込みでした。
すぐに距離を取らなくていい。相手を変えなくていい。1ミリでもいつもと違う行動を、今夜のうちに——それが「ちいすぐ」です。
続けなくていい、今夜2行書いただけで成功なんです。
シックスセカンズが提唱するEQ(感情知性)には、8つのコンピテンシー(感情特性)があります。
今回のカナのお話には、特に3つのコンピテンシーが効いていました。
「違和感を感じた瞬間に”決めつけちゃダメ”と打ち消す」——これは、カナが長年繰り返してきた、優しさから生まれたパターンです。
そのパターンに「いい人でいるための最高の自己防衛」と名前をつけられたから、責めずに気づくことができた。
気づくだけで、扱い方がずいぶん柔らかくなるんですよね。
「いま判断する」と「いったん残して、後で判断する」のあいだに、ちゃんと選択肢を作れたこと。
「次に違和感を感じたら、まずここに残す。判断は、急がない」——これは、3ヶ月後の自分が振り回されない選び方を、いま準備しておく行動なんですよね。
これが結果を見据えた思考——その先にある自分を守るために、いま行動を選び直す力なんです。
「私は、自分のセンサーを大切にする人間」——この一文は、日々の小さな判断を、自分の在り方とつなげる宣言です。
ひとつの違和感への対応にとどまらず、「これからの私は、こうありたい」という大きな方向性を、自分で言葉にする。
これがノーブルゴールの追求——自分を超えた大きな目的に向かう力なんです。
みなさんも、初対面で感じた小さな違和感を、「決めつけちゃダメ」と打ち消したあと、後悔した経験はありませんか?
もしよかったら、コメント欄で聞かせてくださいね。