※クリックするとスライドが始まります
LINEの通知に、ある人の名前が浮かんだ瞬間。
特別なことがあったわけでもないのに、胸のあたりがじわっと重くなる。
別に怒っているわけでもない。
嫌いだと思っているわけでもない。
なのに——なぜかものすごくエネルギーを使ってしまう。
返信の文面を何度も打ち直して、「了解です!」はテンション高すぎ?「承知しました」は冷たいかな?と迷って、結局どっちでもない言葉を選んで送って…。
たった1通の返信に、なんでこんなにエネルギーを使うんだろう。
そんな経験、ありませんか?
今回の「ちいドロ感情日記」は、「苦手な人」へのちいドロに気づいて、自分で選んで動く物語です。

夜、スマホを手に取ったカナ。
ロック画面に映ったのは、職場の同僚・キョウコさんからのLINE通知でした。
「明日の会議の資料、先に共有してもらえますか?」
ごく普通のメッセージです。でも——カナの指は、止まりました。
「……なんでこの人の名前、見ただけで、こんなに疲れるんだろ」
胸のあたりにじわっと落ちてきた、名前のつけにくいあの感覚。
モヤッ、ザワッ、チクッ。これがちいドロ——小さなドロドロ感情です。
このシーンを描いていて、痛いほどわかるんですよね。
「なんでこの人の名前だけでこうなるんだろう」って、ちいドロと一緒に、じわじわ自己嫌悪まで落ちてくることがある。
でもね、安心してほしいんです。
あなたが変なわけじゃない。誰にでも、こういうちいドロはあるんですよね。

「……短く返して、終わりにしよう。いつもそうしてるし」
「苦手な人なんだから、仕方ないよね」
カナはまた、いつものパターンで返信を送ろうとしていました。
でもその夜、体はガチガチに固まっていた。
肩が上がって、スマホを持つ手に力が入って、表情も硬くなって。
「イライラ、モヤモヤ、避けたい!」——この感情が出てくるとき、私たちはたいてい自動運転に入っています。
「苦手だから仕方ない」という言葉で蓋をして、短い返信で終わらせて、また次のメッセージが来るたびに同じ緊張を繰り返す。
このループ、覚えがある方も多いんじゃないでしょうか。
自動運転のまま動くたびに、「私はこの人が苦手だ」というちいドロが少しずつ大きくなっていく…。
実は私自身も、こういうパターンをよく経験するんです。

「ママ、かたい!」
ぐっと抱きついてきた息子のハルトが、カナの肩に触れてそう言いました。
カナはその言葉に、ふっと我に返ります。
「……ほんとだ。ガチガチだ」
「あ、私また構えてた」
この「気づき」こそが、脳ダマのスタート地点です。
脳ダマとは「脳を優しく騙す」技術。脳と格闘するんじゃなく、脳の性質を利用して動くスイッチを入れる方法です。
このシーンでカナが使ったのは、「言葉の脳ダマ」。
「苦手な人だから仕方ない」という固まった言葉を、ちょっとだけ動かしてみることです。
「キョウコさんって……いつも少し焦ってる感じがする。
もしかして、余裕がない人なのかな?」
「この人はなぜ、こういう言い方をするんだろう……ちょっとだけ考えてみよう」
正解を出さなくていいんです。
「苦手」という一言で閉じていた扉を、ほんの少しだけ開けてみる——
その言葉の置き換えが、脳を優しく動かすスイッチになるんですよね。
脳って意外と、言葉に素直に反応してくれるんですよ。

カナが送った返信の内容は、いつもとほぼ同じでした。
でも——送信ボタンを押した後の体が、違った。
「あれっ!? いつもの、あのドッと疲れる感じが……今日はちょっとだけ薄いかも」
「ハルト、さっきはありがとね」
息子の頭を優しくなでながら、カナは小さくそうつぶやきました。
そして夕暮れの窓の前で、こう思ったんです。
「キョウコさんのこと、好きになれたわけじゃない。まだここにある。
でも今日は……自分で選んで返信できた気がしてる」
これがちいすぐ——小さく、すぐに動くこと。
返信の内容を大きく変えたわけじゃない。
「反射で動いた」か「選んで動いた」か、その1ミリの違いが、消耗感をちょっとだけ変えてくれたんです。
名前を見てじわっとしたら、それは「ちいドロ」のサイン。
「苦手だから仕方ない」を「なぜこの人はこういう言い方をするんだろう」にちょっとだけ置き換えてみよう。
好きになれなくていい。「選んで動く」だけで、十分。
苦手な人を消す必要も、関係を大きく変える必要もないんです。
ちいドロに気づいて、言葉をほんの少し動かしてみる。
それだけで、送信後のあのドッと疲れる感じが、少しだけ軽くなるかもしれません。
みなさんも、スマホの通知に体が固まってしまった経験はありますか?
もしよかったら、コメント欄で聞かせてくださいね。
このエピソードで、カナは自然に3ステップを回していました。
あらためて順を追って見てみましょう。
キョウコさんの名前を見た瞬間の、あのじわっとした感覚。
「なんでこの人の名前だけで」という、名前のつけにくいモヤモヤ。
これがちいドロ——小さなドロドロとした感情です。
ここで大事なのは、解決しようとしないこと。
「苦手だから仕方ない」と蓋をするのでも、「なんで私はこうなんだ」と自分を責めるのでもなく——
ただ「ある」と認めるだけ。それが最初の一歩です。
こういうちいドロ、誰にでもあるんですよね。あなたが変なわけじゃないんです。
「ガチガチだ」「あ、また構えてた」と気づいたとき。
カナが使ったのは「言葉の脳ダマ」です。
「苦手な人だから仕方ない」という固まった言葉を、
「この人は、なぜこういう言い方をするんだろう」へ。
たったこれだけの言葉の置き換えが、脳を優しく動かすスイッチになるんですよね。
「苦手」で閉じると、そこで思考が止まる。
「なぜだろう」に変えると、脳がちょっとだけ動き始める。
脳を敵にするんじゃなくて、うまく味方にする——これが脳ダマの核心です。
脳ダマでスイッチが入ったら、あとは動くだけ。
カナの「ちいすぐ」は、返信の内容を劇的に変えることじゃありませんでした。
「自分で選んで、送信ボタンを押す」——ただそれだけ。
ばかばかしいくらい小さな違い。でも、それが送信後の疲れ方を変えてくれたんです。
続けなくていい。完璧じゃなくていい。
「反射」ではなく「選択」で、1回動けたら——もうそれで十分なんですよね。
EQ(感情知性)には8つのコンピテンシー(感情特性)があります。
今回のエピソードで特に光っていたのは、次の3つです。
「なんかモヤモヤする」で終わらず、「あ、今不安を感じてるんだ」「防衛本能が出てるな」と名前をつけること。
漫画の中でも、カナがまさにこの気づきをするシーンがありましたよね。
感情に名前をつけると、少し距離が生まれます。
「不安に飲まれている私」じゃなくて、「不安を感じている私」になれる。
その小さな違いが、次の一手を変えてくれるんですよね。
「あ、私また構えてた」——この言葉がまさにそれです。
苦手な人からのメッセージに対して、無意識に肩を上げ、指を固め、短い返信で終わらせる。
このパターンに気づくだけで、自動運転から手動モードへの切り替えが始まる。
気づきは、変化の入り口なんですよね。
このシーンを描いていて、改めてそう思ったんです。
「キョウコさんって、もしかして余裕がない人なのかな?」
相手を好きになることとは違います。
「なぜそういう言い方をするんだろう」とほんの少しだけ想像してみること。
共感は、相手に同意することじゃない。相手の世界をちょっとだけ覗いてみることなんですよね。
その視点のシフトが、「やらされた返信」を「選んだ返信」に変えてくれる。
人間って面白いですよね——たった一呼吸の想像力が、こんなにも消耗感を変えてしまうんですから。
「自己パターンの認識」とは、特定の状況で自分がどんな感情や行動を取りやすいかを知ることです。苦手な人の前で緊張する、つい言い返したくなる、逃げたくなる…どれも自然な反応。大事なのは「また同じパターンだ」と気づけること。気づけると、その瞬間に少しだけ選択肢が生まれます。自分の反応を「ダメなこと」と責めるのではなく、「自分にはこういうクセがあるんだな」と味方のように眺めてみて。それだけで、苦手な人との時間が少し軽くなります。